花咲拓実

オッペンハイマーの花咲拓実のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
原爆の父、ロバート・オッペンハイマーの半生を迫力ある音楽と映像で描いた伝記作品。

唯一の被爆国である我が国の時代背景もあり、米国での公開から半年の期間を経て国内上映開始された作品ですが、原爆完成間近で標的が降伏したドイツから日本に移る辺りから少しゾワゾワするような感覚があり日本人として観るには少し心が痛む作品でした。

終始音楽を使って緊張感やオッペンハイマーの心情などを表現していますが、迫力あるシーンでは音響で劇場が揺れるような感覚があり臨場感が凄いです。

投下候補は歴史的建造物が多い京都は外したよ、ハネムーンにも行った思い出の場所だしな!みたいなノリだったり、ホワイトハウスでトルーマン達が笑いながら原爆の成功を語るシーンなどは特に胸が痛かったです。

そもそもトルーマンは好きじゃありませんが、たった数分のシーンしか登場しないゲーリー・オールドマン演じるトルーマンは目茶苦茶嫌いになりました(笑)

物語は原爆開発だけでなく赤狩りをテーマにしており、マンハッタン計画開始までと原爆投下する中盤までは3つの時系列が交錯する形で進みます。

量子力学の単語、同じ時系列でもオッペンハイマーが登場しない場面では映像がモノクロに差し替わったり、登場人物が覚えられないというような部分が難解さを作り出しているように感じましたが、私は特に難しさは感じませんでした。

広島出身もあって被爆国としての作品は多く観ましたが、開発者視点での作品は今回が初だったように思いますし実際に少ないと思いますので、世界で唯一の被爆国の国民として是非鑑賞をおすすめしたい作品です。

観るならIMAXやDolby Atmosが更に良いです。
花咲拓実

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