ノーランは人物ではなく事象を描いている監督であるように感じる。
単純に自分が知識不足なのと、伝記的な感じで情報量が凄まじく言及しきれないことから内容については触れません。
また、センシティブな題材ではあるが、自分が感じられる範囲(知識不足で狭いとは思うが)では不快感が少なく、割と公正な描写であるように感じた。
ノーランの映画を久しぶりに観たが、編集の化身みたいな映画。
膨大な数のそこまで決定的ではないが美しい質感のショットを、観客が情報を処理できないような速度で頻繁に切り替えて繋いでいく。さらに、それを時系列の入れ替えや壮大な音楽によってパッケージングすることで、とんでもない迫力を感じさせる。
口は悪いがこんな感じだと思う。
時間の切り取り方もすごく鋭利で、出来事のおいしい部分だけをつまみ食いするかのように短時間ずつ切り取る。そこに一切の生活は感じられないが、圧倒的なテンポとドラマチック感が生まれる。人物を描くことを捨て、事象を描いているのだろう。
このスタイルが良い悪いではなく、食い合わせが良い脚本を選ぶように感じる。
とはいえ、どうしても人物の感情を反映した運動や決定的なショットが欲しくなってしまう。自分が事象よりも人物に興味があるからか、ハリウッド的な映画の見方に慣れていないからか。
教養がないので分からなかったが、色々調べていそうですごい。ただ、事実と主張の境目が一見しただけでは分からず、偏った見方をしてしまっていそうで怖い。
キラキラの映像美良かった。