日本人の私目線で。まず観終えた瞬間、興奮に震えて「やっぱりクリストファーノーランさん好き〜！」と思った。
彼の中盤から始まる物語の劇的な展開、終盤までたたみかけるように続く決め台詞と決めシーンの応酬に毎度やられてしまう。
序盤は、実験が苦手な自分を打破する意味を込めて新型爆弾製作に着手するオッペンハイマーに、漫画的主人公味を感じてワクワク。爆発シーンも圧巻。美しさを感じるのは同意しまくり。
ところがナチスに対して用意されるという大前提があった新型爆弾は、ドイツが降伏することでその使用用途は無理矢理日本に向けられる（これはネタバレでなく歴史的事実として…）。
そのため単に前半は怒りを覚えていってしまうのだが、そこはクリストファーノーラン。後半からは主演俳優の演技も迫真で、人間のサガと物語の本質をありありと見せていく。
新型爆弾という存在が、使用先に対してはもちろん、製作者とその周囲に対してどんな影響を及ぼしたか。
日本をリスペクトしてくれていたというアインシュタインの存在が、消えることなくオッペンハイマーに問いかけてくるのであった。
