このレビューはネタバレを含みます
戦後の公聴会とオッペンハイマーの人生を交互に展開し、研究者としての栄光と苦悩を描く。
作中オッペンハイマーは、神から火を盗んで人間に与えた罪で罰せられるギリシア神話のプロメテウスになぞられる。
では彼が開発を止めていれば原爆はできなかったのか。作中でも描かれていたとおりドイツの方が研究が進んでおり、他国も含めて遅かれ早かれ開発されていたものだろう。もし原爆がナチスの手に渡ったらという恐怖はアメリカの上層部にはかなりあったようだ。
そして終戦に近づいているにもかかわらず、アメリカは実験を続け、最終的に降伏しない日本に原爆投下という選択を取る。
攻撃先を検討する会議で「京都は旅行で良いところだったからやめとこう」とかゲームをするかのようで、観てて本当にしんどかった。
第二次世界大戦終結から約80年。
戦後という言葉には、リアリティが感じられなくなった。
しかし、世界では核と隣り合わせの戦争がいまも続いている。
こういった映画が作られつづけること自体にすごく価値があるとおもった。