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オッペンハイマーのTomのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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史実に基づく話でネタバレとかほぼないようなもんだと思うから、普通に書きます。

原爆の父として知られるオッペンハイマーの半生を描いた物語。
だけど個人的にはオッペンハイマーを通して、原爆とか戦争というものに改めて向き合って考えることができた作品だった。

開発を進める上で、何もなかった土地に科学者とその家族たちを集めて一つの街まで形成してたのなんかは全然知らなかったな。
これで、やっぱ戦争は大きな土地を持つ国が有利なんだなと思った。

そして何よりも3年の開発を経てたどり着いた実験のシーン。その爆発には自然と涙目にさせられた。
その後に実験を成功させたオッペンハイマーを街の皆が喝采するシーン。ここで直接的ではないが、街の住民に重ね合わせて原爆被害者の皮膚が剥がれ落ちたり泣き叫んだりしている描写が。これには涙が止まらなかった。
平和な時代の首都圏に住んでいて、小中学校で習ってきたくらいの自分がここまでの気持ちにさせられた。これを当時を深く知る人たちが見たらどれだけ辛いことだろう。

標的地を決める会議で、一番権限がありそうな人が「京都は新婚旅行で行ったけどいいところだったよ」とか言ってんのに普通に原爆を落とすという判断は当然の姿勢に疑ったし、これが戦争なのかとも思った。

オッペンハイマーは核開発を進めることでソ連も開発をさらに進めてしまうという考えのもと、水爆には反対していた。この結果が今まさに現代で起きている「持つ者と持たざる者の格差」なのだと思った。

オッペンハイマーとストロースの対立的な視点がカラーとモノクロで描き分けられてるのは、見ていてわかりやすかった。

予習して行った方がいいって聞いたから予習動画見て行ったけどまじで正解だった。多分見てなかったらすんなり話入ってこなかったわ。
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