TakayukiMonji

オッペンハイマーのTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.8
毎度のことながら、ノーラン作品の冒頭に書いているのだが、クリストファー・ノーラン監督の作品には、今から20年以上前に公開されていた2作目の「メメント」を渋谷シネマライズで鑑賞した時に出会った。その時から、心を鷲掴みにされて、その後の作品はほとんど劇場で鑑賞している。得意の時間軸をずらす手法も、徹底的な世界観の作り込みも、妥協のないSFの切り口も、、世界で一番好きな監督のひとりだ。普段は前情報は遮断して臨むのだが、歴史的な史実を題材にしていることもあり、少しだけ前知識をつけようとYouTubeの予習動画をチェック。それが功を奏したのか、とても奥深い映像体験になった。

180分、彼の作品の中では最も尺が長い。
それでいてこれでもかとばかりに、ものすごい情報量が飛び込んでくるし、それを巧みな映像と音響と構成軸をミキシングしていく特有のスタイルだから、息つく暇もなく、ぶっ飛ばされた。
言葉で説明するのではなく、視覚的に直感的に体感させる、これこそが映画だと思わせる手腕ぶりは、この作品でも発揮されていた。主観的な部分と俯瞰的な部分を巧みに入れ替えていく。何というか没入感。

日本人として扱われているテーマに対して、また劇中の表現に対して、議論が起きるのもわかるが、世界のひとつの転換を担った歴史上の人物を取り上げて、その葛藤と苦悩をひとつのファクトとして、映像を使って多面的に見せてくるのは、さすがに“映像作家”だなと思った。

後半の怒涛の展開も、マンハッタン計画のディテールの描き方も、映画としての見応えはすごかった。IMAXの鑑賞で、細部の音も耳に入り込んできて、没入感がました。

とはいて、これはさすがに予習してないとついていけないかもな。。。
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