abt

オッペンハイマーのabtのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
-
ノーランの映画は、早口な展開と難しい話で観る人の集中力を引き出させ、
最後に色々畳みかけてその集中力をぶっ潰しにかかり、脳が飽和状態でエンディングロールを見せるのがうまい

これが映画館の没入体験のひとつならば
この長尺を飽きさせずに没入させる彼の手腕はすごいと思う

と、tenetと本作を見て思ったけど
他の彼の映画がどうかはわからんw


一方

長崎で見た、当時の人たちが残してくださった苦しみや声の記録を、あのシーンで思い出し
決して、この映画はその方々には見せられないと思った

物事は色んな側面で見ることが大事だけど
二度と起こすべきでないからこそ知ることが大事だけど

でも自分たちが家族が焼かれた業火だけでも二度と見たくないのに
それを喜ぶ人だなんて、胸糞悪いなんて言葉では表現できないよ


この映画を数値として評価を記すのは嫌だ(というか、し難い)と思い
とりあえず思ったこと書く

(前述のせいでまだ頭がまとまらないけど笑)

………

・展開としてはやはり秀逸なものだと思う
時系列を行き来し、思惑が見え、収束する

・あー、本作で見せたいのは、彼らの人間模様
(爆発から後が長かったね、こっちか、って思ったよね?)

・人と関係性をもう一度確認してもう一度観たい(ラミマレックのポジション謎、ラミマレックが演じてなかったら存在覚えてない)

・ゲイリーオールドマンにゾッとした
彼の表現は本当にすごい
(チャーチルの映画観てないと気づかない)

・RDJが演じたストローズ、権力クズ
そしてRDJは何を演じてもRDJという存在感
(Academy awardのことは許していない)

…………

・科学者と政治家

・科学実験とかけた年月と悲願の達成と足りない想像力

・夫の功績を素直に喜ぶ家族
(日々の中でその先のことは想像に及ばなかったんだろうか)

・国がお金と労力をかけたものが、使う必要がなくなったからといって、ハイオシマイ、とできるのか、するのか、歯車は止まらないのか

・人を殺す兵器はさらに多くの人を救うのか
・核は全世界の戦争の抑止力になるのか
・当時の彼らの大義名分と希望が合っていたのか
は、その後の歴史が示す通り、だよね?

・だから、私たちは「戦争ヨクナイ」で思考を終わらせず、過去の歴史を世界の経験として学び、今の決断に活かさないといけない

・ユダヤ人ジェノサイドを止められなかった当時のドイツ人と
原爆を非難せず喜んだアメリカ人
(そして今のガザのジェノサイドを止められない私たち)

………

・なんだかんだオッペンハイマーも自己顕示欲、性欲、家族の引け目、ひとりの人間

・ジーンを自殺に追いやった時に、同じように罪なき人を殺めるという想像には至らなかったのか?

・原爆の利用詳細を決める会議、あれは所詮人間あんなもんだと思った
あれに驚いた方はWansee Konferenz(ヒトラーのための虐殺会議)を観ると良い

・湖でのアインシュタインにかけた言葉
あれはweであることが重かったのかなと思ったのだけど、どうだろう

(考察見てみたら私の解釈みんなと違った、私はwe didはアインシュタインを入れたと思う。)
(なんにせよストローズが思っていたほど彼のことは眼中にない
オッペンハイマーが思っていたほどトルーマンの眼中に彼が入っていなかったのと同様に)

・原爆テストのカウントダウン時に流れていた音楽が妙に印象的だった
abt

abt