会話劇であるが故に、いつものノーラン作品の様な、すげー映像！すげー話のギミック！みたいなのはちょっと薄いのですが、それでも十分面白かったです。
動きが多くない映画を作らせても上手いんだなーと思いました。
オッペンハイマーの心情や、会話に出てくる物理理論を表現する際に、爆発や点とか線のイメージを轟音と共に差し込んだりするところは、ノーラン節を感じました。
今作は伝記映画であるが故に伏線がどうとかはそんなに無い訳なんですが、それでもあの時のセリフが後で効いてくる、みたいなのはしっかりあって、そこもやっぱり上手いな〜と思いました。
原作もあるので、必ずしもノーランの手腕によるものかは分からないのですが…笑
俳優陣の演技も良いのですが、中でも敬愛するゲイリー・オールドマンは本当にすげーなと思いました。マジで怪優。
フローレンス・ピューの表情も良かったですね。「ミッドサマー」で見た時はなんか頭悪そうで好きじゃねーなと思ったのですが、今作すごく良かったです。
ラブシーンでの出番が多く、体当たり演技！みたいな印象が強いのがちょい残念で、監督もそこは反省してるとかなんとか。
それから、自分が日本人である事とは切り離して作品を観ていたのですが、原爆投下の候補地を話し合うシーンでは、その瞬間がどんどん迫っていることを実感させられ、さすがに来るものがありました。
万人にウケる作品ではないかなというのが正直なところですが、さすがアカデミー作品賞なだけあり、クオリティは間違いない一作です。見て損はなし。
