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オッペンハイマーのイのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.8
5-12

爆発実験の無音シーンが印象深い。
激しい何かが起こるという強い予感のもとでの静寂。
カウントダウンがそのまま使われているのも緊張感を増強させている。
本当に心臓に悪い。

オッペンハイマーの女性関係と彼のイデオロギーの有り様は対比関係にあるか。
私には、極めて政治的な案件に個人的要素がべたべたと絡みついている様子が反映されている様にみえた。
女性関係だけでなく、プライドの影響力。

モノクロの使用の意義は理解できず。
カラー(オッペンハイマー側)が進歩的、モノクロ(ストローズ側)が保守的と捉えるのは安直か?
円卓の場面では両方使われていたが、間に別の場面が挿入されていたために具体的な比較はできず。

原子の映像?みたいなのはいらないかな。
安っぽい(CGを使わずに撮影したらしいが)。

3時間で中弛みなし。
長いと感じさせないのは、大作を作り続けているノーランさすがだなあという感じ。

足踏みの挿入が良い。
爆発音との類似。不安感を煽る音。
実際に成功を祝う演説が描かれる前に、部分的に挿入されているのが好みだった。

原爆投下の「成功」に伴うトラウマ的感覚が、オッペンハイマーの幻覚的に描かれる演出はありきたりっちゃありきたりだけど、別にいやらしくは感じなかったかな。
まあそうなるのも頷けますよねうんうん、という感じ。

エミリー・ブラントがとにかく良い。
高潔な強さというより泥臭い強さを感じるのに、時に凛としてみえる不思議。
瓶(?)投げる場面を女のヒス出たとかいう奴いたら一旦話聞かせて?

実験の苦手なオッペンハイマーが、国の人員と金を注ぎ込んで壮大な「実験」に乗り込んでいく構図が、明らかなバッドエンドを予感させるなあと。

ド理論側の豊かな想像力に対し、一般庶民に欠如した想像力。
現実化することで果たして補完できたのか。
記憶、歴史が忘れ去られていくことを前提にすれば、それは「ノー」と言えるんじゃないかと思う。
「ノー」と言わせないための映画があれば良いなとでも言っとくかな、、、。

大統領との場面、政治家と科学者の立場を区分化。
チャーチルを演じたゲイリーがトルーマンを演じると。
役者という職業は多くを要求されるな。
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