yoyoyo

オッペンハイマーのyoyoyoのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.1
期待値上がりまくって鑑賞。題材の重たさに加えて伝記物。少々不安視していたが、とんでもない。杞憂だった。
時系列を相変わらずいじくっているが、さすがにもう慣れてきたので見づらさは感じず。そして、歴史について勉強してから見れば良かったと多少思ったけれど、逆にあまり構えずに鑑賞して良かったかも。そのまま、この人の半生の大きな波をどどーんと受けた感覚。
オッペンハイマーという天才物理学者で「原爆の父」とも呼ばれた人物が、戦争や政治、時代と人間たちの大波にのまれ泳ぎ切った先に見たもの。その脅威のデカさにただただ恐ろしい。
原爆の実験成功や広島と長崎への投下で話は終わるのかと思いきや、聴聞会(オッペンハイマー事件)の結末や周囲の人たちとの関係性が更に苦しく追い討ちをかけ、眉間に皺を寄せながら見た。見届けた。
いやー、嫉妬は怖い。人の人生を狂わせるほどの嫉妬は自分の人格をも狂わせる。
ラミ・マレックの存在感とインパクトが強く、終盤にぐっと生きる。
そしてラミ・マレック演じるデヴィッドのような人間でありたいと思った。デヴィッドもオッペンハイマーも妻も、あんな四面楚歌状況でしっかり自分の主張や意見を言えるなんてすごいよ。
小さい組織の中で息が詰まって言葉が出てこなくなる自分がちっぽけに思えた。これからは心の中にラミ・マレックを飼おう!
思った以上にキャストが豪華で驚くし、すごく楽しめる!
割と好きなフローレンス・ピューがこれまで見たことのない表情でまた好きになった。骨格ががっしりしていて好き。
エミリー・ブラントも安定の良さ。上手いなあ。繊細さと強さを併せ持つ(というか振り幅でかい)妻は応援したくなった。
会話劇と登場人物の多さと上映時間の長さに終わった後頭から湯気出ていたと思う。
原爆の実験成功を受けてのオッペンハイマーの心情を表す演出が見事。ノーラン監督、燃え尽き症候群になってないかな。心配。
ゆっくり休んだら、また大作を作って欲しい。時系列こねくり回してもいいから。
yoyoyo

yoyoyo