ぐるぐる

オッペンハイマーのぐるぐるのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

IMAXで鑑賞
映画体験として、マーベル映画がジェットコースターならこの映画はお化け屋敷とでも言おうか…
緊迫した空気に、あくまで現実を追求した爆発の表現
ただただ圧倒され畏怖の念が湧き上がり、鳥肌と共に恐怖の混ざった感動で涙腺がおかしくなった

この映画では、オッペンハイマーという人間を必要以上に持ち上げも下げもしない
ただ彼の生きてきた道を描く
共産主義のもたらした大混乱、米ソの対立などの社会情勢のもと、彼は自身の役割は研究しその成果を産み落とすことにあると考えた
産み落としたものの責任は研究者にはないのだと
この発言は、まさに自身の子どもに対するセリフと重なるものがある
彼は自分の子を他者に預けることになるわけだが、そのことについて「自分は最低だ」と発言している
彼の中の倫理観は彼をそうやって苦しめ続けていたのだろう
たとえルーズベルトから、それを生み出した者に責任はない、と言われたとしても
考えないようにしても、自分が生み出したものをそんな風に簡単に割り切ってしまえるわけではないはず

彼の主観的な物語ではあるけれど、この出来事を受け取めた観客が自由に解釈できるように委ねている
私はまだまだ未熟な観客ではあるけれど、この映画を観て知りたいと思うことがたくさん見つかった

最後にキリアンに祝福の気持ちを表したい…スケアクロウ役から考えたら大出世ではないだろうか
彼なくしてこの映画はこの映画たりえないというほどに、観客の心と視線を掴んで離さない圧倒的な存在感
ほんとうにほんとうに、おめでとうございます