クリストファー・ノーラン監督最新作。原爆の開発者オッペンハイマーの伝記映画。
ただただ原爆の開発を描くのではなくカラーとモノクロ、時系列の変更などノーラン監督らしい演出の工夫を凝らすことで三時間超でも退屈することなく見られました。特に音楽や音の力が大きく、映画館での映画上映にこだわるノーラン監督の意気込みが伝わってくる映像体験でした。主人公のキリアン・マーフィー含め、豪華俳優陣による演技もお見事。「ダンケルク」は正直ピンと来なかったので勝手に心配していましたが、予想以上の傑作に心が動かされました。
今作はテーマが原爆の開発者ということであくまでオッペンハイマーからみた原爆開発を描いており、広島や長崎の惨状を直接映さない等意図的に淡々と中立に描いてはいますが、根底には"反戦"のメッセージが感じられました。日本人としてはもう少し惨状も描いて欲しかった気持ちもありましたが、これを機に改めて世界で核について考えるきっかけになって欲しいですね…。
映像は然ることながらとにかく音を体験するために映画館、できればIMAXで体験して欲しい傑作。登場人物の多さなどに対して説明は少なめなため、内容について予習してから観た方が良いと思います。
