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オッペンハイマーのすGOのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.1
ノーランらしくないという評もあるけれど、物理学オタク君が、相対性理論の次は、量子力学の学者がプロメテウスの火を齎す物語へ。この人は首尾一貫しているのだ。だから政治ショーより、開発パートが圧倒的に面白い。その中で特に面白かったのは、一つはドイツの原爆開発が、主導する学者たちのほとんどがユダヤ人だったためナチによって遅滞させられたというエピソード。もう一つは「大気引火」という地球破滅の可能性がゼロではないにも関わらず計画がGOされたところ。「物理学者というのは指物師みたいなもので、なんでもパッパッと組み上げちゃう。30年も経たないうちに原爆を作ってしまう。数学者にはあんな乱暴な仕事はできない」という岡潔の言葉を思い出した。指物師組合の親方が、製品のせいではなく、取引先の人間のせいで責められ引退を余儀なくさせられる話。
こういう単純な構造の物語が、結果として立派な反戦映画、反核映画になっているところが面白いところ。直接描写の有無など問題にならない。
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