RAIN

オッペンハイマーのRAINのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
世界を変えてしまった男の光と影。
マンハッタン計画の中心にいた彼が心血を注いで開発した原子力爆弾。
戦争を終結に導いた功績と背負った罪禍。
『我は死なり 世界の破壊者なり』
彼の歩みと彼の周りで時に支え、時に裏切った様々な人物を描きながら、観ている者たちに核の恐ろしさを突きつける。

全編を通して重厚な物語になっている。
3時間という尺を感じさせない程スクリーンに釘付けになってしまっていた。
水爆の父エドワード・テラー、原子力委員長ルイス・ストローズ…と己が欲望のために生きる様も作品の人間ドラマに深みを与えていた。
だが、周りの人間たちが己が欲望のためと考えるほどに戦後の彼の影響力は大きかったということである。

オッペンハイマーが追い求めた技術は確かに多くの人々の命を奪い、そして本作で触れられなかったが核の脅威としてキューバ危機にも繋がることになる。
オッペンハイマーが突きつけた世界の現実、核という存在がある世界は今も変わっていない。
それは彼だけの罪なのか、それともトルーマンなど当時の人々に背負わせるべきものなのか。
そして、核と共にある未来ある人々が核の存在をどう考え、どう向き合うのか考え続けなければならない。
本作を鑑賞し、核なき世界となることを願わずにはいられなかった。
IMAXレーザーで鑑賞。
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