信濃の肉うどん男

オッペンハイマーの信濃の肉うどん男のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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ノーラン新作は絶対グラシネシアター12で観ようと決めてたら、1週間以上満席状態。やっぱそうよね。やっと観た。大スクリーンがノーランの希望でもあったから大正解。史上初のIMAXモノクロフィルムや、キューブリック「2001年宇宙の旅」のトリップシーンを彷彿させるCG無しの抽象描写。オッペンの頭の中が見え、現場に居るような感覚に陥るノーランの細部への拘りと、シアター12の最高設備がマッチ。これまたCG無し(how!?)の実験シーンなんて最強音響の振動で風まで感じて驚怖だったし、あの二人の池シーンも歴史を目の前で見ている感覚に陥り鳥肌。シンプルに現代映画界の天才が過去科学界の天才達を映した作品。キャストも驚愕の集い。この作品自体が核分裂と核融合、マンハッタン計画。パンフ夜通し読んだ。ノーランがチームに対してだけでなく、観客に対してもこのくらいはついてこれる(お馴染みの時間軸の弄りや作品の意義を汲み取れる)だろう、と信頼と挑戦挑発し続けてくれる姿勢に我は毎回落ちるのだ。マーフィー「この映画は歴史の教訓ではない」。トリュフォーの言葉「僕たちは人生から逃げるためだけではなく、人生を学ぶために映画館に行くのだ」。池シーン撮影時のRDJ「この瞬間を覚えておこう。心の写真で撮っておくんだ」。李相日が「日本映画はこの作品にカウンターパンチを打ち〜」と書いてたが、今の日本映画界はノーラン作品に近寄る事すら不可能。ただ今回アカデミーの視覚効果賞にゴジラが居た偶然は興味深かった。圧倒的なクオリティとセンスの差にただただ拍手。もう一度観に行きたい。
グラシネシアター12 IMAX鑑賞。