オッペンハイマーのmagic227のネタバレレビュー・内容・結末

広島、長崎の惨状がまったく描かれていない点などで日本では批判も多い本作ですが、この映画が反核というスタンスで作られていることは間違いありません。
ただ、
それより何より気になったのは、この映画がオッペンハイマーの人生を所謂、偉人伝として描いていることでした。
オープニングでオッペンハイマーをプロメテウスに準えた時点で判っていたことですが、これは人類に「火(核兵器)」を与えたが故に苦難を受ける殉教者の話です。その作り方の根本は偉人伝の作り方と同じであり、それがノーランのオッペンハイマーに対する評価なのでしょう。その点にこそ、日本人である僕は強い違和感を感じずにはいられませんでした。
もちろん、
映画としてのダイナミズムは充分ですし観る価値のある映画だと思います。オスカーも妥当な評価なのでしょう。
あくまでも自分の中で釈然としないというだけのことなのですが、そこだけは譲れないし譲ってはいけないと思っています。