藤村正宏

オッペンハイマーの藤村正宏のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.7
良い意味でも、悪い意味でも、僕たちは彼が作り出した世界に、いまだに生きている。

原爆の父と言われている理論物理学者の実話。

クリストファー・ノーラン監督が得意な、時間を自由自在に操る演出。
とても多い登場人物。
主に16名、脇を入れると50名の実在した人物が現れては消えていく。
テンポの早い会話。
シーンが次々と変わる映像。
そして圧倒的な音。
気をゆるめると、ついていけなくなる感覚。

20世紀になってからの物理学の急速な発展の歴史や、第二次世界大戦から現在までの世界の姿が成立していく過程を、原爆の父と言われる理論物理学者、ロバート・オッペンハイマーと共に体感した。
本当にたくさんの情報が3時間に凝縮され、とても濃厚な映画だった。

1954年のオッペンハイマーのソ連スパイ疑惑の聴聞会(カラー)と1959年のストロースの商務長官就任公聴会(モノクロ)を中心に、過去の思い出のような形でマンハッタン計画が語られていく。
この時間軸の演出を知っているだけで、少しは理解しやすくなると思うのです。

観た後、さまざまな「思い」がたくさん湧き出てくる映画だった。
たくさんの人に観てもらいたい映画です。
藤村正宏

藤村正宏