このレビューはネタバレを含みます
量子力学って、極々小さな曖昧な世界を記述する事で極大な宇宙の事まで解き明かそうとする学問だと認識してる。
オッペンハイマーという特異だけど社会の最小単位である個人の周りの人間関係のゆらぎが広島・長崎への原爆投下という人類史上で最も大規模な惨事へと繋がっていってしまった。
この対としてる感じがノーランっぽいなと。
ロスアラモスでの研究の日々は、どことなくプロジェクトX的な共感を求めてしまいそうになるけど、作っているものの性質上気持ちは上がっていかない。多分あげようとしてない。
最終テストでの爆炎の神々しい演出は人類が使っていい炎ではないという皮肉かな。
物理への純粋な探求。結果としての原子爆弾。その後の矮小とも感じる諍い。
強烈な反戦映画だなと。
強烈に戦うことを煽ってくる奥さんはちょっとキツい。オッペンハイマーもかなりやらかしてるからだろうけど