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オッペンハイマーのかえでのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5
オッペンハイマーの栄光と苦悩の半生を描いた傑作、ちょっと難しいけど…🥹
天才物理学者ロバート・オッペンハイマーが著名な物理学者たちや多数の人員を率いて、巨額の予算を投じた核兵器開発計画(マンハッタン計画)はトリニティ実験の成功によって結実。原爆が広島、長崎に爆弾が投下され、連合国勝利によって終戦を迎える。オッペンハイマーは一躍ときの人に。しかし、オッペンハイマーは原爆を生み出してしまったこと、数多くの人命が失われたことによって苦悩することに。一方で、戦後はソ連を筆頭とする共産主義陣営との冷戦の時代。身の回りに共産党員が多かったオッペンハイマーはこのことで、公職追放となる。
以上のような流れを把握したうえででないとさーっぱり分からない映画ですね💦しかも、時系列に沿って描くのではなく、オッペンハイマーが公職追放となる聴聞会とオッペンハイマーを目の敵にする政治家ストラウスの商務長官就任のための公聴会という5年の隔たりがある歴史的事柄を交互に描くといういかにもノーランな手法が取られているので、めちゃくちゃややこしいです。
ストラウスはいかにも小物といった感じで、マンハッタン計画では使命に真摯に向き合い、原爆投下後は結果に真摯に向き合ったオッペンハイマーの人柄と上手く対比されているなぁと思いました。
ストーリーの軸はこの聴聞会と公聴会だけど、一番盛り上がるのはトリニティ実験成功で核がこの世に誕生するシーンだったように思います。それがゆえにトリニティ実験成功からエンディングへと向かう流れはやや弱く感じました。
とはいえ、この作品を面白いと感じるかどうかは人それぞれだとしても人類の歴史の転換点としての核誕生については知っておいた方がいいだろうなと思います。
ほんとに評価が難しい作品ですが、個人的にはとても良かったと思うし、まだまだ全然理解しきれていないとも思っているので日本語字幕付きでソフト化されたらまた鑑賞したいと思います🙇
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