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オッペンハイマーのtsuyocinemaのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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科学を止めるのがリベラルアーツという言葉や、AGIやASIの開発に異論を唱えた「人工知能 人類最悪にして最後の発明」を思い出さざるをえなかった。
神にはなれない(宗教的な意味でなく、全能感や支配感を感じてしまう)人類への警鐘であり、それを観客は対岸の火事のように扱うものではないのだなと。

しかし、オッペンハイマーのように人間は科学への好奇心や仕事の高揚感により進めていることを止められない。一方ストローズのように世俗的権力欲や個人のメンツにより敵対する人間を貶めたりする。
どちらも発露の仕方は違えど人間の愚かさをマクロでもミクロでもそれぞれの視点で見せつけるのは流石だった。

クリストファー・ノーランは映画というメディアで時間と空間を完全に支配することで客観的な視点で描いてるのに観客を没入させられる監督だと思うのだが、本作では時系列を解体して再構築して登場人物の頭の中にトリップさせる、マクロ/ミクロでもテーマを浮かび上がらせており、ノーランの没入感がネクストフェーズに移行した印象。

それにしても、これを原爆賛美とか行ったヤツはマジで映画観てねぇな。




▪️良きシークエンス


・あの密室での聴聞会の過去が妻にバレるシーンのあのイタたまれない幻想シークエンス

・妻キテイやアインシュタインのセリフの切れ味とテーマが全て修練される感じ

・トルーマンがオッペンハイマーに言い放ったあのシーン

・マンハッタン計画での仕事をさくさく進めるシーンは中身は置いといて仕事映画好きには堪らない「ナイス段取り!」と呼びたいものだった


・理論物理学者の頭の中やビジョンの超感覚感を表現しているシーン
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