寝るのだいじ

オッペンハイマーの寝るのだいじのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

研究が大好きで研究に励んでいたら、殺人兵器を作ってしまったことに気付き、この罪と闘うと言いつつも浮気したり世間から逃げたいだったり、わがままな話。

研究者、特に理系は本気で考えた方がいい。自分の研究成果がどう使われるのかを想定して、望んだ使い方をされないよう予防策も併せて用意しておくとか。
純粋に研究楽しいだけでキャリアを積んでいく人が優秀かもしれないが、それで非人道的な謂れをされるのが嫌であれば、研究の先まで考えた上で取り組めと、数年前に研究者(今は国内外で活躍している)に叱ったら泣かれてしまったのを思い出した。

研究が楽しいのは大変共感するが、銃作っておいて殺人に使われることを怯えるくらい愚かしいから。何に使われるべきか明確化、周知させるまでが「発表」だと思え。

だからオッペンハイマーが、奥さんは詳しいこともわからず家庭を守りながら耐え続けていることを尻目に、浮気で現実逃避するとか、自分しか作れない装置だと分かっているなら亡命するとかあったのに「闘う」と言いつつ覚悟が足らなくて政府の言いなりになっていることとか、ダサくてたまらない。

世間を知ろうとしない人は誰だって搾取され利用されるだけだが、それが研究者だった場合の最悪さは計り知れない。
それを描いてくれたのはとても良かった。

医療も含め科学の発展を加速させる最たるものは戦争、という事実を見せつけられる。理不尽の前でしか人は切羽詰まってより良いものを生み出そうとしないのか、理不尽無しでもそうあってくれよと思う。

アメリカから見た日本への原爆投下ニュースの反応を見ることができたのも良かった。
リアルタイムでの映像や、原爆被害者の様子まではアメリカ国民は見なかっただろうし、「想像上での日本への攻撃成功」なので、どれだけ凄惨だったか知らずに称賛していて、日本同様アメリカも戦争教育がもたらす心無さがあったように感じた。

ノーラン監督は、敢えて時系列を鑑賞者が整理しないとわからないくらい複雑にして、単純な話も不可解な風にしたいのかもしれないが、流石に3時間尺でそれはくどい。どの作品もそんな感じだから、どうせ前半は寝ててもいいやと思ってしまうし、実際後半だけでわかるので面白くない。
CGを使わないこだわりとか素敵な感性をお持ちなら、そろそろそのくどさを洗練させてほしい。