このレビューはネタバレを含みます
「原爆」はどうしてもつくられなければならなかったのか。「ナチスより先に」このひと言で全てが正当化されるパワーワード(？)。時代が求めた「天才」は、役目のために利用されるだけ利用されて、利用価値がなくなったら捨てられるだけだ。その筋書きのなかで役をふられた「天才」には､選択肢がない。……クリストファー・ノーランが構成する物語は、「選択肢」がない非情な世界観を徹底して描いているように見える。タランティーノが「ワンスアポンアタイムインハリウッド」で愛と救済の創造神であったこととは真逆の､傍観する神。だから、観客も傍観者となって､オッペンハイマーに感情移入ができないようになっている。原爆を生み、人に対して実際に使われた､過去にもう起きている出来事を､オッペンハイマーを中心に据えて描くこの物語の少し先にある現在は、いつ極限状態に陥るか分からないのに、日常を生きる不条理な世界になった。この物語が一筋縄ではいかない非凡な印象を持つのは、「原爆」と､オッペンハイマー自身の明らかに悪気がないからこそ赦しがたい他者への言動によって恨みを買い、足元をすくわれることを同列のように扱うことで生じている奇妙な違和感があるからだろうか。
ううう～～～、これを投稿するのに、ずいぶん日数がかかってしまった……｡一度出来上がった文章をこねくりまわし、削除してはまた組み立てることにかなりの時間をさいて、出来上がったレビュー(？)が､こんなものだ。もう解放されたい。投稿ボタンを押してやる！
