たかっし

オッペンハイマーのたかっしのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2

ようやく見れたクリストファーノーラン最新作。

同胞であるユダヤ人を迫害するナチスによる世界の蹂躙を防ぐために原爆開発に全てを捧ぐオッペンハイマー。広島への投下成功後の罪の意識を表すスピーチでの幻影(顔がただれた少女を演じるのはノーラン監督の実娘とのこと)が強烈だ。
ここでの罪の意識が戦後水爆開発に対して待ったの姿勢をとることになるが、水爆推進派のストロースの策略にはまり赤狩りの渦に巻き込まれていく。

テーマとしてこの映画が訴えることは
①世界情勢の変容に巻き込まれていく科学者の悲しみと無情。
②アメリカ帝国主義の嘘と欺瞞。
だと思う。
①は先程のスピーチの場面もそうだか、冒頭のオッペンハイマーとアインシュタインの会話が内容が明かされず、ラストに用意されるのだがここに無情の全てが見事に表されている。

②はストロース演じるRDJと少ししか出演しないがトルーマン大統領演じるゲイリーオールドマンの卑劣ぶりに現れている。自分と自国が全てで自分たちが法である彼らこそがアメリカの欺瞞そのものとして糾弾している。

ということでアカデミー賞に相応しい今年1番の映画、と言いたいところだか2つの公聴会とオッペンハイマーの生涯を時系列をパズルのようにバラして構築して、登場人物が多数バラバラと出てくるこの映画のわかりずらいこと😵
加えてノンストップアクションのようにズンズン進む構成と音楽もノーラン監督の作風といえばそれまでだが余り得意ではなかった。
もう少し①と②のうねりをダイナミックに描いて欲しかったです。

アカデミー賞候補でいえばスコセッシ監督作が無冠となり、世代交代とも言われたが私的にはノーラン監督はまだまだだなと思いました。

ちなみに戦場のメリークリスマスのローレンス役のトムコンティが、アインシュタイン役だったのはノーラン監督の戦メリ愛を感じました。
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