このレビューはネタバレを含みます
映画で見た方が絶対良い作品
音響や音楽とオッペンハイマーの心理描写が重なる演出が多用されていて、そこが見どころの一つ
原爆投下成功に歓喜して足を踏み鳴らす群衆の足音が、オッペンハイマーの罪悪感などの悪感情と重なっているところとか、
原爆実験シーンで、爆発した直後は無音で燃え上がる映像を見せつけ、その後に大爆発の音響が響き渡るところとか
とにかく音の描写が凄かった
オッペンハイマーと不倫していた女性が自殺した際に「自分のせいで彼女は死んだ」と崩れ落ちた彼に対し、妻が言い放った
「罪を犯しておいて同情しろと？しっかりしなさい」というセリフがこの作品の肝のように感じた
アインシュタインとの会話で、彼が「我々が世界を破壊した」と認めるところで幕を下ろす
気になったのは、よく言われる今作の日本の扱い、原爆投下時の描写のなさ
当時のアメリカ人にとっての日本の見方を忠実に再現していたと受け取って良いのかも
劇中に無いように、広島長崎の原爆投下の光景を直接彼らは見たわけでは無い
だからこそ、想像力豊かなオッペンハイマーが罪悪感を感じる人物描写が活きるように思える
だとしても、オッペンハイマーが映画館で原爆投下後の被害状況を克明に記したドキュメンタリーを見ていたシーン、あそこくらいはオッペンハイマーの視界と合わせて惨状を映像にしていて良かったんじゃないだろうかと感じる
気になるところもあるけれど、政治劇も濃厚に絡んでいて、間違いなく反核映画だった
ノーランが宮崎駿にナウシカの実写版を撮らせて欲しいと頼んだら、「原爆に関する映画を作れ」という条件を提示したという話を以前見たのだけど、あのソースはどこ...？ワンチャン次回作は実写版ナウシカかも
