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オッペンハイマーのwksgknchのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

本年度のアカデミー賞で7冠。

監督は現代でベストの映画監督の1人だと思うクリストファー・ノーラン、
物理学者で原子爆弾を開発を主導したロバート・オッペンハイマーが主人公の映画。
ロバートを演じたのはキリアン・マーフィー、表情、特に目が良い、ズームするからというのもあるかもしれないけど、それは言葉以上に目で語る演技が彼にできるからなのかもしれない。
ロバート自身は科学者で、教壇に立つし、チームをまとめる話術もそれなりにあっただろうが、人を巻き込んでいく力が彼の目に宿っていたのかもしれないと感じた。

ノーランがオッペンハイマーの生涯を描いた本「アメリカンプロメテウス」を手にしたことから考え始めたそうな。プロメテウスとは神話の神で人間に火を与えたと言われていて、原爆を生んだオッペンハイマーにちなんでいるのでしょう。

物語はモノクロとカラーでわかれていて、カラーはオッペンハイマーの視点で、モノクロはストローズの視点となっていて、わかりやすい構成。

宇宙や原子、量子の話し、新しいものを生み出していく過程は個人的にはワクワクする分野だったのだけど、そのあたりは詳しくは描かれてはいなかった。これまでの映画でもそうだけど、国家単位で物事を進めると決断があってから、集中したときの勢い(映画での描き方)はすごい。

デイン・デハーン扮するケネスがもう少し活躍してほしかった、もっと意地悪してほしいけど、ロバートはぎりぎりでホワイトなことをしているので、すっと終わってしまった。

自分が為そうとしている事の重大さに気付いたロバートは、しかしユダヤ系であることから先んじて開発しなければ、という想いからも計画にのったし、はっきり描かれてないが、物理学者としての興味もあったのではないか。

物語が進むにつれて、徐々にストローズの存在感が大きくなってくる、ロバートが二人の関係にとっては些細な、だが決定的な発言があり、それが後年ずっと尾を引いている人間の業の深さみたいなものが描かれていく。
また、権力というものが如何に脆いか、時によって簡単にひっくり返るものだが、その時点では絶対に感じさせられてしまうし、本人以上の流れみたいなものもあったりする。それがドイツだったり、かつての日本もそうだったと思う。

アインシュタイン、良かった。
音楽も良かった、物語の展開にあっていた。

ノーラン監督は映画を作ると、それが次の問いになるそうです(NHKのクローズアップ現代より)、もう次のきっかけは生まれているそうで、楽しみです。

知識を得る、知ってしまうことをなくすことができないのと同時に、発言すること、生み出したことも、無かったことにはできない、その瞬間自分の手を離れてしまう。
自分を超えた創造を生み出すという意味で、それによりインターネットがあるし、良し悪しがある。

核という人智を超えた武器を生み出した国、保持している国、使われた国、使われなかった国という立場はあれどそのことで今の均衡状態があるとしても、"より良き世界"というものがあるなら(あると信じたい、敵という概念の存在しない世界)、そこに向けて誰しもが考える事項であることは間違いない。
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