ケンゾー

オッペンハイマーのケンゾーのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.4
ここ1年ずっと観たくてようやく観れた。

なかなか公開されないからもっとヒロシマ・ナガサキにスポット当てた映画だと思ってたけど、どっちかというとWW IIを通した米国史って感じ。特に赤狩りとか教科書だと一行で終わるところを映画で知れたのは良かった。

主人公にフォーカスを当てると上に立つことの嫌なところをこれでもかってくらい表現しててよかった。目的がちょっとずつ挿げ替えって行って、でも今更引けなくなっていって、対内と対外で顔を変えて、衝突の度に正解のない問いに判断を下さなきゃいけない。上手く行って用済みになったら外野からも身内からも刺される。一度は英雄になれたから、それだけのことをしたのだから、まさにクソの煮こごり。

米国の親戚に感想を聞かれた。日本に落とされなかったらどうなっていただろう。代わりに落とされたのはキューバかワシントンかモスクワか。北緯38度線は日本に引かれてたかもしれない。戦争にもルールは必要で民間人虐殺も先制攻撃もやってはいけない悪いことだ。なぜルールがあるのだろう、なぜ守れなかったのだろう、敵が悪魔に見えたから?自分が聖職者ではないから?原因を人に求めるのはいつだって簡単で一番気持ちがいい。自分の中から探すのは難しいわりに共感されない。言いたいことは沢山あったのに上手く伝えられなかった。