Monisan

オッペンハイマーのMonisanのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
IMAXで観た。

観ている最中、終わってすぐの感想としては、「怖い」という感情。

途中で台詞に日本というワードが出てきて以降、途端に我が事になり。悲しいし、悔しいし、恐ろしくなる。

映画としては、この180分をこれだけの密度で作り上げたノーラン監督、凄まじい。長いんだけど全く興味が尽きない。
情報量も凄いんだけど、しっかりオッペンハイマーという人物とその周囲で起こった事に向き合って描いている。
日本人なので、どうしても原爆投下の部分が気になってしまうが、もたらす残酷さは伝えてくれたんじゃないかな。投下成功後の同僚達の歓声が滑稽に見えたり、火傷を彷彿とさせる女性の演出とか。

その上で、その後の博士自身の葛藤、政府関係者の闇をきちんと見せる事で、世界がどうなったのか、またこれから我々はどう歴史の過ちを繰り返さずに生きていくのか、この部分を丁寧に大切に描いたんだと感じた。
最後にパイロットが見た、ロケットが飛び交う光景を実現させてはいけない。

アインシュタインとの会話も良かったし、マット・デイモン好きとしては、委員会での証人後のオッペンハイマーとの目配せは最高だった。

音楽、効果音は重厚でこれだけでIMAXにした甲斐がある。

原爆実験のシーンの緊張感は映画史に残る場面となるだろうな。20分前の合図から緊張するし、演者達の緊迫感も臨場感とリアリティが。爆音に備えていた観客の自分は静寂に驚き、時間差の音に驚き、ピカドンというワードが頭をよぎった。やっぱり怖い。

クリストファー・ノーラン、脚本・監督
Monisan

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