ヤンデル

オッペンハイマーのヤンデルのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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・他のノーラン作品同様に時系列が複雑になっており、以下の4つの時間軸が交差する形になっている。
 ①オッペンハイマー主観の反省(カラー)
 ②ストローズのオッペンハイマーの追及(白黒)
 ③オッペンハイマーの聴聞会(カラー)
 ④オッペンハイマーとアインシュタインのやりとり

・水爆を提唱するテラー博士が登場するが、これは「博士の異常な愛情」におけるDr.ストレンジラブのモデルになったとされる人物。

・日本では「広島と長崎の惨状を描いていない」という批判もあるが、本作は決してオッペンハイマーを主人公として英雄視しておらず、むしろ批判的に描いている。オッペンハイマーの主観が中心なので広島や長崎のシーンはないが、原爆投下支持者がオッペンハイマーのイメージの中で焼かれるシーンもあり、彼の後悔や苦悩が描かれている。

・クリストファー・ノーランの前作「テネット」では、ロシア人がアルゴリズム(時間を逆行させて全人類を死滅させる)を自分が死ぬ瞬間に起こそうとする。これはプーチンが自暴自棄になって原爆のボタンを押しかねないという恐怖を象徴している。そのため、前作から原爆のイメージが含まれていたことがわかる、また、この映画は戦時下突入前のウクライナのオペラハウスのシーンから始まっている。

・クリストファー・ノーランはテネットに出演したロバート・パティンソンから本作の原作「アメリカン・プロメテウス」を贈られオッペンハイマーに興味を持ったと話している。

・ノーランの息子に原爆の抑止力について話したところ、若い世代はあまり興味が無く、気候変動の方を問題視していると知り、ショックを受けたという。
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