こうだい

オッペンハイマーのこうだいのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.5
SAION -SR EDITION-、35mm Filmで鑑賞。

やはりクライマックスはトリニティ実験。あのカウントダウンの緊張感が凄まじいだけに、実験の成功には思わず興奮してしまう。そしてなんといっても光と音のタイムラグ。主観的な長さにも感じるほどの長い沈黙に全てが詰まっていて、その後に体感した凄まじい音圧は1週間経った今でも鮮明に覚えている。

オッペンハイマーの葛藤と苦悩をこれでもかと味わわせる3時間。アインシュタインの言葉が重くて、しばらく余韻に浸っていた。あとアインシュタインが本物に似せててかわいい。

アダムとイブが食べた知恵の実を彷彿とさせる、序盤の青りんごのシーン。その時は自らの手で止めることが出来たが、食べずに捨てた故に善悪の判断がつかなかったという風にも取れる。また、知識の、科学の集大成である原爆は、完成した途端に自らでコントロール出来なくなってしまったという対比にも取れる。このシーンがニールス・ボーアに理論物理学に邁進するよう言われる重要なターニングポイントなのも面白い。

後半が少し長く感じましたが、オッペンハイマー目線をメインとした伝記物ながらも、しっかりと反核映画・反戦映画としての意味合いもある作品でした。ただ、ノーラン監督にこういったものを求めていないというのが正直な所。

オッペンハイマーが変えてしまった世界に私たちは生きているのだな。。。
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