真栄田

オッペンハイマーの真栄田のネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

『フランケンシュタイン 或いは現代のプロメテウス』
って言うのが、あのフランケンシュタインの正式タイトルなんすけど
今作は割とガッツリ意識してると思った
(原案本の原題も『American Prometheus』なので)

『フランケンシュタイン』は、1人の優秀な医学生が知的好奇心に耐え切れず
雷鳴の響く雨夜に、研究室で死体を組み合わせた怪物を生み出してしまい、人命を弄んだ罪悪感に苛まれる
みたいな話で
人類に火と、その使い方と言う画期的な知識を与えた神様、プロメテウスになぞられて前述のタイトルが付けられた訳ですが

この映画でも
作中で何度かプロメテウスと言う単語が出てきており、更に初めての原爆実験を行う前夜は雷の鳴り響く雨夜なので
やっぱフランケンシュタインは意識しているんだろうなぁ
とか思いました
(実際、史実で前夜は雨降ってたのかもしれんすけど)

知恵の実として語られる事の多いリンゴに毒を入れ、その罪悪感で翌朝飛び起きる
この序盤のシーンで
作中で後に起こる展開と主人公のキャラを同時に見せていて
更に「毒を含んだ知識」で、「原子力」の比喩にもなっているのが巧いと思ったっす

あと
個人的に気になったのは
原爆実験直後にスピーチでヒンドゥーの聖典の中に有る、ヴィシュヌ神の台詞を引用したって言う事実が有るんすけど
コレを前半のSEXシーンで言わせてるのは
原爆投下直後に言わせちゃうと罪の意識感じてなさそうに見えちゃうからなんすかね

そして
ラストの、核の連鎖反応と、池の水の波紋の映像が
核戦争の連鎖のイメージに繋がる演出に怖さと巧さを同時に覚えました
真栄田

真栄田