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オッペンハイマーのShojiIkuraのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.7
 オッペンハイマーがどういう人物で、戦後どうなったかは、少し前にNHKの番組で知っていた。そして今年のアカデミー賞最多受賞作。高い期待を持って鑑賞した。
 どういう事があったのか事前に知っていた僕でも、前後する時系列がどこなのか混乱した。知らずに見た人は理由がわからなくなるのではないか?
 それだけ、アメリカ人にとっては誰もが知る事なのだと思った、時代のピースがハマって、オッペンハイマーが栄誉と苦悩を背負った。ピースが違っていたらどうなっていたのか?ドイツに原爆が出来ていたら?逆にドイツに原爆が投下されていたら?水爆の開発が進んで日本に投下されたら?逆に日本に原爆が投下されず無条件降伏はあったのか?
 タラレバを言ったらきりがない。原爆は投下され、戦争は終わった。その後核開発の競争は進み、水爆は保有国もはっきりしていない、冷戦が終わり、核兵器廃絶の動きは具体化したのに、被爆国の日本は何故か核廃絶を唱えない。
 一方で日本人に馴染みのない赤狩り(日本にもそういう時代はあった)。近代の魔女狩りと言う人もいる。時に他人を陥れる為に使わたりする。思想のヘイトだ。何を考え、拠り所とするのかも人に咎められなければならないのか。
 それと、オッペンハイマーとアインシュタイン、劇中も出てくる「水爆の父」エドワード・テラーもみなユダヤ人。彼らが優秀なのは間違いなく、ナチスが迫害したのも「嫉妬」だと僕は思っている。世界を変えるほどの頭脳。その使い道を国に委ねる危うさを、僕らは認識しなければならないと思う。
 色々と考えさせられた作品。教訓に出来るかはあなた次第。
  
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