ようやく。IMAXやドルビーで見られなかったけど、十分楽しめました。
評価がめちゃくちゃ難しい映画だけど、やっぱり怖い映画。
オッペンハイマーの記憶をスクリーンを通して追体験させられる上に、日本人であるというアイデンティティが重なり、さらに劇場を出た後に、オッピーの見てしまったビジョンが幻影ではなくまさにその時代に生きているという現実を突き詰められるということに愕然とする。思わず現在の核保有国が何発持ってるのか調べてしまった。
この映画の奇妙なところは、物語的な一番の盛り上がる実験成功シーンが鑑賞者にとってはバッドエンドであること。(日本人以外の一部の人はそうでない人もいるかもしれないが)
そして大量殺戮兵器をつくることに葛藤を覚える作る側の人の話かと思いきや、作っている時はノリノリで、成功した後にその兵器を奪われたあとで(最初からそうなることは分かってるはずだけど)事の重大さ、見積もりの甘さに葛藤し、怯えるという話だった。そこにノーランは映画人として共感したんだろうなぁというのもめちゃくちゃ伝わってくる。
映像や音響は素晴らしいと思うし、役者の演技はノーラン映画ならではの豪華さだったと思うけど、やはりお話が面白いかと言われるとうーんとなる。
もう一回IMAXで見るかと言われれば多分見ないし、ノーラン映画に乗り切れてないのか、急に被害者ぶりたくなる日本人の性質なのか自分でもよくわからないけど、何度も見て面白さが滲み出てくる映画じゃないようなことは確信できる。お馴染みの意味のない時系列の入れ替えとか複雑な事もやってるんだろうけど、わかったところで意味がないのもお馴染み。
単純に駄作や傑作だと言い切れない複雑な映画なような気はするし、評価されるのは分かるけど、やっぱり切り離せない日本国民性が邪魔してフラットに見られなかったような気がする。
