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オッペンハイマーのぐるのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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勉強不足とまだ一回しか見ていないので、自分の中でもなかなか感想がうまくまとまらない。ただ、高潔な人物や、心から共感または同情したくなる人物が一人も出てこない点で、明らかに今までのノーラン作品と一線を画していると感じた。

オッペンハイマーのアカデミックな分野における天才性よりも、私生活や人格面における凡人性を強調していたのが印象的だった。オッペンハイマーを取り巻く関係者たちも同様で、当時世界最高の頭脳を持った人々が、子供のように無邪気に熱中して核兵器を創り上げたり、些細な私怨で人間関係に汲々とする様子が恐ろしい。

「第二次世界大戦中に国家に尽くしたのに、戦後はその国家から石もて追われた天才科学者」を描いた作品という捉え方では、これもアカデミー主演男優賞最終候補までノミネートされた「イミテーション・ゲーム」に似ているが、今作では主人公を悲劇の天才科学者では終わらせないので、爽快感もカタルシスもない。なんともモヤモヤした気分になり、安易な感想が出てこない。
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