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オッペンハイマーのokawaraのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
あらゆるものから目を背ける男が最後にチェーンリアクションの帰結を予見したとき、はたして彼は目をつむる。
ところで一般市民がほとんど姿を現さぬこの映画の世界の狭さは、宇宙を舞台に家族という最小単位の社会を収めてみせたり、やけに壮大な脳内世界を示してみせたりしたこの監督の標準的特徴のひとつだろう。
ついに外界はおろか内界からも目を背けた罪深き男を、その標準的狭量で贖罪するこの映画は、特定の歴史的戦禍がどこまでも外界に想定されざるをえないから尚更、不誠実きわまりない印象をまとっている。
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