エキセントリックなキャラを持つと同時に、一つの時代を作った男性の半生を描く。
そして何よりも、戦争終結のための核開発と言う大義が、人類にとっては“プロメテウスの火”ともなる“核”の軍事利用により以後の世界のパワーバランスを決定的に変える事になる日々を、多彩な人物を配して描く。
ノーラン監督らしい緻密な展開は、オッペンハイマーへの告発（弾劾）の展開と核開発へのステップを同時進行で描く事で、より濃厚なドラマとなった。
特に最初と最後に象徴的に登場するアインシュタインとの交流が印象に残る。
これだけの作品を、単に被爆国だからと言う理由で公開を避けようとした映画会社には呆れる。
これは“核”と言う禁断の炎を武器転用し、地球を何回も破壊できるほどの武器を持つに至る事になる、大きな転換点を描く貴重な作品で、誰かが制作するべき作品。
それがノーラン監督であったが故に豪華な実力派キャストを揃えられ、娯楽性をも兼ね備えた傑作となった。
