磯野マグロ

オッペンハイマーの磯野マグロのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.7
【泣き虫オッピー】54

人類は可能性のあることでやらなかったことはないし、やるべきではないけどほっとけばだれかがやってしまう、それなら自分でやったほうがまだマシな結果になる、と思ってやったことは絶対後悔する。
ということで、この映画は悩み多き泣き虫オッピーさんの後悔の物語であって、原爆開発や武器としての使用の是非はストーリーの主眼ではない。実験のキノコ雲もショボいし、実際の被害も見せないし、日本人でなければオッピーがなんでこんなに悩んでるのかすら、よくわからないのではないだろうか。
ノーランにしては、時系列をいじっているのにわかりにくくなかった。細かいところはわからなくてもどうにかなるし、実話ベースなので大きなストーリーは分かった上で見ているせいもあるか。
マンハッタン計画を見てると、やっぱり日本は喧嘩しちゃいけない相手と喧嘩したんだなあ、という思いを強くする。アメリカは被爆の人体実験も山ほどしているし、目的達成のための肝の座り方がヤバすぎ。精神論でごまかす国とは訳が違う。ただアメリカとて、開発のライバルだったナチスが降参したからといって、走り出した列車は簡単には止められない。ある意味、日本への原爆投下はとばっちりみたいなもので、これは日本にとっては酷い話ではある。このあたりのオッピーはどうにもはっきりしない。挙句に大統領にあの泣き虫を二度とよこすな、と言われる始末。
肝といえばフローレンス・ピューも、肝っ玉の座ったいい女優ぶりだったなあ。
磯野マグロ

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