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オッペンハイマーのlarabeeのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.4
【論点がいっぱいありすぎて】

原爆の父、オッペンハイマーの苦悩と生涯を描いたクリストファー・ノーラン監督の超大作。

とにかく描きたかった事が盛りだくさん、エピソードがいくつもあってヤマ場が何度も襲ってくる。一つひとつのエピソードがどれも深い重いテーマなので、そう簡単に片付けられないウチに次のテーマがやってくる。鑑賞している我々はヘビー級の重いパンチをずっと浴びながら、それでもリングに立ち続ける。

そりゃ3時間いるよな。でも逆によく3時間にまとめたとも言えるくらい密度も高く全く飽きなかった。

描かれるテーマはいっぱいあるが、我々日本人にしかできない事がある。それは被爆国の国民として観なければいけない、という事。

実際の原爆投下シーンが描かれていない事を理由に批判的な意見もあるようだが、そんな事はどうでもいい。それは作者、作品の自由だろう。要は何を伝えたいのか。

オッペンハイマーは原爆を作ったが投下を決定する権限は無かった。だから本来なら責任は無かったのかもしれない。でも彼は苦悩する。

日本人からしたら苦悩して当たり前、悩んで当たり前。彼だけが悪い訳では無いが、責任は感じないといけない。一生十字架を背負って、死ぬまで苦しまないといけない。

他にも赤狩りや政治家対化学者や夫婦の問題など様々な問題が描かれる。登場人物も多いので、「あれ、前に出てきた人?」となる事もしばしば。

もう一回観た方が理解が深まるので再挑戦必至。もう、ノーランったら。
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