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オッペンハイマーのKOZOのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
公開からおよそ1か月、まだまだロングラン上映しそうとのことで後回しにしてようやく鑑賞。
3時間超えの映画は結構観てるけど、長さを感じたのは否定できず。登場人物の多さ、人間関係の複雑さ、そしてテンポの速さに混乱、最初の20分くらいところどころ睡魔に襲われた。
ノーラン監督独特の(といっても初クリストファー・ノーラン…これまでの作品も気になりつつスルーしてた)時間軸を行ったりきたりも馴染めず。。

でもクライマックスの原爆投下直前の最終実験のシーンからはなかなかの緊張感。
広島、長崎への原爆の投下後、オッペンハイマーが英雄として迎えられるシーンには現在の世界情勢を思い出して震えた。
原爆の被害を伝えるシーンがないのが日本では批判されてるけど、尺的に厳しかったかな?あの体育館?のシーンだけでもなかなか強烈だった。

今作で描かれている米ソの冷戦時代の危うさを乗り越えて、ベルリンの壁の崩壊で世界は良い方向に向かっていくと思えたのに。
現在の大国のトップたちの傲慢さを我々は制御できず第三次世界大戦は勃発するのか。
あのラストはその危うさへの警鐘か。。
敵国の民間人に多数の犠牲が出ても、自国の勝利のためには仕方ないと戦時下では想像力が働かない、あるいは思考停止。
繰り返す負の歴史。
核に守られた世界。
核戦争の時代が来ることを予測して水爆の開発を止めることを訴えたオッペンハイマーに今の世界情勢はどこまで想像できたのだろうか。
いろいろ考えさせられた。

キャストについてはここのところすっかり洋画を観なくなった自分でも知ってる人がたくさん。作品の公式ホームページには書かれてないトルーマンの役って、あの人なんや…やっぱり凄い。
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