らすかる

オッペンハイマーのらすかるのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
・特に若くもないが原爆への関心が低い人間だったので知的な関心が湧くきっかけとなる映画だった
・初めてクリストファーノーランの映画を劇場で見れた
・二面性あるいは両価性に、人間および社会のリアルが宿るという理解

原爆が作られる過程を知れたし、そこにまつわる政治的な動向も理解できて面白かった。
この作品の良かったところは、人間の二面性を公平に描いているところ。善人でも悪人でもない。どちらの性質も併せ持ち、それが状況によって濃度が変わり、行動が変わる、といった人間のリアルを見れた気がする。

映画観賞直後はオッペンハイマーの人間的な未熟さや女性関係における倫理性の低さの方が脳裏にのこり、人間の負を表現とした映画だと誤認していた。が、そのような側面を持ちつつも核への脅威を認識し自分の責任と向き合い戦ったこと、そして結果的に名誉を回復できたところまで、一人の人間として正しく行動しようとした姿はむしろ肯定的にとらえるべきものであり、総合的に良い映画だったと感じた。

考察を見てようやく内容を理解できてのでもう一度見たいなと思いつつ、劇場で3時間見るのはかなりきついのでアマプラとかに出てからまた見ようかなと思います。
クリストファーノーランの映画としてはもっとサスペンス的な方が好きだけど、これはこれでかなり勉強になったし知的好奇心をそそられたので観てよかったなという感想。
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