小枝

オッペンハイマーの小枝のネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ストーリーはノーラン節の効いた時系列がぐちゃぐちゃな作りになっている。白黒映像に「昔のもの」という先入観があるので、ロバートダウニーJr.が主人公のタームを一番古い時系列だと誤認していた。初っ端からなぜかオッピーが尋問を受けているのもあって、初見では映画の構造の把握が難しくないか?という印象。あと本当に20世紀を舞台にした字幕映画は人の区別が付かない!服装が全員一緒すぎる!

私は原子爆弾の製造過程をよく知らないので、原子爆弾があたかも架空の兵器かのような脚色を感じた。物理学的な説明が丁寧だし、濃縮ウランの必要数を見せるギミックも見事で、SF的な描写が多かったからかと思う。ここら辺の物理学的(量子論的)論考に辟易せずついて来れるかどうかで見る人を選ぶ第一関門になっている気がする。

『オッペンハイマー』という主題であるように、本作は正にオッペンハイマーの生命を物語った作品である。決して“原爆“の話ではない。私はこれを取り違えていたので前半40分と後半40分が退屈だったのが勿体なかった。視聴後に改めて振り返ると、冒頭の労働組合のくだりとラストの原罪を問うくだりはドラマに不可欠なのが分かる。

ただ本当に登場人物が多くて特に男性間の人間関係が難しく、誰がロシアのスパイで誰がドイツの科学者でローバートダウニーJr.が怒っていたのは分かるけど、なぜロバートが公然の場でバカにされたのかという文脈は全く理解できなかった。これは前半少し寝ちゃったのも悪い(寝たのかよそりゃ分からんわ)。

ニブルヘイムじゃなくて、アスガルドじゃなくてなんだっけあの街…名前忘れたけど、あの開拓地を建設し出したあたりはかなり面白かった。原子爆弾製造に向けてどんどんボルテージ上がっていくところはかなり見応えがあった。
小枝

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