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オッペンハイマーのhのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

たった3時間で理解した気になるのはいけない。「キラーズオブザフラワームーン」でも感じた史実に基づく作品の性である。私達が観たのは多面的な彼の歴史の一辺にも満たないはずだ。
しかしながら圧倒的な3時間は答えを明示しなくとも観客の中にそれを見い出す。
愚かな歴史の流れに立つ私達が何を思い行動するかが答えであり、現代を生きる日本人として無罪性を振りかぶりただ批判するだけのことは絶対にしたくはない。歴史を伝えていくのはこれからの私達。

ストーリーの基軸はオッペンハイマーの人生である。もちろん原爆の恐ろしさも表現されている。映画を純粋に見る自分とこの島の上で生きる日本人としての自分が入れ替わりながらある時は共存するこれまでに無い映画体験であった。映画だとわかっていながら後を引くのはやはり人間の恐ろしさ故である。
京都は綺麗な街だから原爆投下地からは外したというあの会話。世間話かのように大量殺戮を容認する権力者はまるで神かなにかのように振る舞う。同じ人間とは思えない同じ人間が原爆を落としたのだと知らしめる。スクリーンの前で怒りよりも恐怖に体が震えた。

映画館に足を運んでから1ヵ月以上経った。やっと一映画作品としてレビューできるほどに心が落ち着いた。上記は鑑賞後すぐ残しておいたメモであるため新鮮なレビューであるはず、、

映画としてはやはりノーランにしか出せないスピード感が魅力であった。大量の情報をセリフと映像で無駄なく伝え一切中だるみしないこの作り方ができる監督が他に何人いるのかといったところ。
もうひとつ音楽が素晴らしい。いつもではあるが、素晴らしい。アカデミー賞を取るのも納得。(「キラーズオブザフラワームーン」の受賞無しはおかしな話だが)
この音楽がなければこの映画は完成してない。
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