タカシ

オッペンハイマーのタカシのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
『私達が知ってる彼らの知らない事』


ようやく公開された「オッペンハイマー」。
実は地元でIMAXシアターが出来てから一番楽しみにしていた作品。
純正IMAXカメラで撮った作品をIMAXシアターで観るとどうなるのか楽しみで楽しみで。
でも今回観たのは本当に全国のIMAXで掛かってるのと同じものなのかね?
あれ基本的にただのビスタサイズじゃないの? 画角の変化とかまったく気づかなかった。
私がボンヤリしてただけなのか?

事前に情報をある程度入れないとキツい、と聞いていたので、割とおそるおそる観に行った。

これだけ知っとけばよかったと思うことは、時系列。
頭からオッペンハイマーの半生を描きつつ、彼の聴聞会とストローズの公聴会が描かれるのだが、聴聞会と公聴会の時制がまったく違うということにラストまで気づかなくて、自分にガッカリ(なんならストローズの公聴会の目的もラストまで分からずさらにガッカリ)。

それ以外は本当に面白かった。
当時の科学者アベンジャーズみたいな大量の登場人物も引っかかりそうなところはすべてスルーしてストーリーに集中したおかげでいや面白かった。

とにかくダウニーJr.が出ているところ以外ほぼキリアン・マーフィーが出ていて、さすがに彼のオスカー受賞は納得。
逆に天才に嫉妬する凡人、という「アマデウス」のサリエリの如きストローズは、もう少し彼にフォーカスしても良かったんじゃないかと思えて、ダウニーJr.のオスカーはちょっと微妙に感じた。
まああれ以上やると、上映時間は四時間になったろうけど。

逆にオッペンハイマーをモーツァルトに例えると、彼の「分かってなさ」とか他者に対する非共感性とか、すごい腑に落ちる。

実は観ていて一番がっかりしたのが、原爆第一号の爆破実験。
実際に爆発の炎を見せてくれるのだが、あれが原子爆弾の爆発なの?ってすごいがっかりした。
ガソリンと火薬のたっぷり入った爆薬の爆発をスローで撮って大画面に写してるだけじゃん、って思っちゃった。
「ツイン・ピークスreturn」というテレビドラマで核爆発を描いたシーンがあって、私の見た評では、あれにボロ負けしてたというのが結構あって、私も言われて確かにそう思ったんだよな。

あとはフローレンス・ピューですよ。
そもそも私は誰が出ているのかあまり注意を払わず観に行ってて、彼女が出てるなんてまったく知らなかった。
劇場でおっぱい観るのがすごい久しぶりだったので、普通にびっくりしてたんだが、あれフローレンス・ピューだったなんて、まったく、それこそエンドクレジット見て、え彼女出てたの?主要登場人物で女性って彼女と彼女くらいだったけどえ待ってあのおっぱい彼女だったの、って軽くうろたえましたよ。
あーもっとしっかり見ときゃよかった(コラコラ)。

思い至らない彼の、その主観の物語に、原爆の直截的な描写がないのは当然といえば当然なんだけど、それが残念かどうか、それを私が(私が、ですよ)見たかったかどうかと言われれば、ちょっと答えに窮しちゃうんだよなあ、これはいろいろな面で最適解の作品なんじゃないかな。
この作品のあと、少しでも世界の人々が改めて広島長崎に目を向けてくれるきっかけにはなるんじゃかないかと。

これは確かにオスカー獲るに値する力作でした。

私には「インターステラー」の3倍くらい、「ダンケルク」の8倍くらい面白かったよ!(テネットの1.2倍くらい)
劇場(IMAXレーザー)にて。24.04.15
2024#002
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