魚さかな

オッペンハイマーの魚さかなのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.5
 R15+指定は大胆すぎる不倫のベッドシーン。
 原子爆弾の開発プロジェクトリーダーに選ばれて、のちに広島・長崎に投下される、物理学者オッペンハイマーの伝記映画。
 主人公が日本の非核三原則(持たず・作らず・持ち込ませず)に近い感覚を持つことは意義深い。
 しかし、戦前(カラー)と戦後(白黒)の時間軸を行ったり来たりする手法は大好物の自分でも、戦後(白黒)が台詞過多で字幕を追うのがやや苦痛だった。
 しかも、見終わった後に、核兵器4:共産党迫害6、の印象で終わることが想定外。この点を欧米では前宣伝で加えているのか気になる。
 ラストシーンで180分の長尺が救われた。クリストファー・ノーラン監督の前作『テネット』に通ずる。
 普段は邦画実写しか観ないが、アカデミー賞受賞で鑑賞。345館で上映している公開6週目でもGWで完売満席。2024年14本目
 【追記】公式パンフレットにある1931(昭和6)年生まれの映画評論家、秦早穂子(はたさほこ)氏の、戦争体験者としてのレビューが興味深い。「ドイツ系ユダヤ人として、オッペンハイマーはニューヨークに生まれ、(中略)そして白人社会は、うまく行くと、ユダヤ人を外す」 
 アインシュタインも同じユダヤ人。トリニティ(三位一体)なんてキリスト教らしいネーミングが出てくるけど、日本語字幕を読んだだけでは感じられなかった「反ユダヤ」も裏テーマなのか?!
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