YosukeIdo

オッペンハイマーのYosukeIdoのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.1
「シネフィル倶楽部」にてオススメ記事公開中です。

※ネタバレあり

https://ameblo.jp/cinefil-club/entry-12851138750.html

歌が上手い人のライブに行くと、自分も歌がうまくなったと錯覚する。
 
スポーツの凄いシーンを観ると、自分もできるような気がしてくる。
 
ノーランの作品を見終わった帰り道は───自分の頭が良くなったのでは?と錯覚します。
 
彼の映画は難解なことが多いです。
映画鑑賞に留まらず、知的体験の領域に踏み込みつつあります。
 
だからこそ2回目が楽しい。
 
1回目はひたすら圧倒され、翻弄されるまま。
真に娯楽として享受できるのは2回目以降。
(自分の理解力に比例してではありますが…汗)
 
是非、2回以上劇場でご覧ください。
 
さて、公開前からいろいろと物議を醸した世界的な話題作『オッペンハイマー』。
 
科学的な偉業と、その恐ろしさ───それらを天秤にかけながら、本当に作るべきだったのかを論じきれずに手を出したことを、諌めているように感じました。

本作は伝記映画です。
 
原爆の恐ろしさや影響については多く言及されておらず、観了後はどちらかというと科学者の苦悩・栄光・挫折、原爆を世に放った側・者を中心にしたビフォー・アフターの出来事───アメリカ国内の政治劇としての印象が強く残ります。
 
もちろんそれが悪いというのではなく、『オッペンハイマー』という人物の生涯を描く伝記物としてはこの上なく秀逸な作品であることには違いありません。
 
特に被爆国日本においてはセンシティブなテーマですが、そのテーマにどれだけ向き合った作品かというと、痛烈な批判や怖さは感じにくいものの、事の重大さや重さみたいなものは十二分に伝わる深遠な作品だと感じました。
 
あくまでオッペンハイマーの生涯を通して↑のテーマを内包した作品と捉えると良いのではないかと。

前述の通り、原爆や核について事の重大さや重さみたいなものは十二分に伝わる深遠な作品ではあるものの、直接的な反核のメッセージ性は薄めだと個人的には感じました。
 
もちろん、この映画をしっかり理解すると、反核というメッセージがありありと浮き彫りになるんですが、直接的な被害の映像は皆無なので、その恐ろしさに観客全員が辿り着く訳ではない事を考えると、果たしてこれをどう日本人として受け取ると良いのか考えあぐねました。
 
───と、いう感じに1回目鑑賞後はなっていたのですが、これはもしかしたらノーランから人々への挑戦なのかも?と2回目の鑑賞で思いました。

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