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オッペンハイマーのlptsのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
「初見殺し」  

史実を基にした映画でもここまで初見殺しの作品にするとは思ってもいなかったので、鑑賞後疲れ切ってしまった。ストーリーが掴みづらい中でも原爆を賛歌するようなものではないことはしっかりと把握できたが、扱っているテーマ故にもっとどっしりと作品に向き合いたかった自分には、本作の不親切なつくりに正直がっかりな感情を強く持った。

「被害」

第二次世界大戦の勉強の一貫として、原爆に関しても色々と本を読み、実際に長崎、広島に足を運ぼうしていた自分にはタイムリーな作品だった。多くの原爆関連の本を読み、個人的に気付いたことがある。それは日本人に生まれたという事実だけで原爆をわかった気になってたと勘違いしていたことだ。当然、日本に生まれれば原爆に関する情報は折に触れて接することになるのだが、それらは受動的に入ってきたものばかりで、自発的に腰を据えて原爆というものに向き合ったのは今回が人生初だった。そして、自分はあの時、あの雲の下で何が起きていたかをほとんどわかっていなかったことを痛感した。本作の公開過程や評価に辺り、様々な場で原爆の被害に関する言及がされてきたが、これは戦後80年近くたった今、アメリカ人だけでなく日本人に対しても向けられる言葉なのではないかと自らの経験から感じている。本作が公開されたことにより原爆に関心が集まったことは意義のあることだと思うし、これをきっかけに原爆と向き合う人が増えることを願っている。

最後に、自分が読んだ原爆関連の本の中でも特に勉強になった本をあげておきます。原爆を理解する一助になればと思います。

"原爆投下、米国人医師は何を見たか"
"原爆 私たちは何も知らなかった"
"長崎の鐘"
"ナガサキは語りつぐ―長崎原爆戦災誌"
"ナガサキ"
スーザン・サザード著
"ヒロシマ日記 "
"ヒロシマ"
ジョン・ハーシー著
"ヒロシマを暴いた男"
"広島第二県女二年西組―原爆で死んだ級友たち "
"広島・軍司令部壊滅 昭和20年8月6日"
"空白の天気図 "
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