原子爆弾の開発に成功し“原爆の父”と称された米物理学者：ロバート・オッペンハイマーの伝記映画。
原爆がもたらす被害への想像力は日本と他では大きく違うだろうけれど、トリニティ実験から予想以上に心揺さぶられて、日本への投下成功を祝うスピーチが終わるまでずっと涙が止まりませんでした。
あの巻き上がる炎の下に、原爆ドームで、はだしのゲンで見た地獄が重なる。軽く発せられる「京都」「広島」「長崎」の地名一つ一つに心臓が跳ねる。
原爆の扱いに関しては、立場の違いと距離を思えば思慮あるものに感じました。
フラッシュバックする白光と、轟音と、熱風。「物理学300年の成果が大量破壊兵器作りなのか？」
それでも唯一の被爆国：日本に住む人間としては、こんなものじゃないって気持ちは湧いてきます。被害報告の場面ではスライドを挿入すべきだったし、放射線が人体に及ぼす影響についてちゃんと触れて欲しかった。その方が、IMAXの超高画質で撮るオッペンハイマーの苦悩への理解もより深まったと思います。
原爆の映画ではなく、あくまで「原爆を作った男」の映画と頭では分かっていても、フラットな気持ちで観ることは難しかったな。。逆に聴聞会や、ストローズの公聴会パートでは役者陣の熱演を堪能できました。
読み返すと要望多めですが、劇場で鑑賞できて良かった。日本公開を決断して下さってありがとう。
