ハローダギー

オッペンハイマーのハローダギーのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

終始不穏で緊迫感のある音楽が流れていて、テンポも映画予告編のように会話劇で進んでいく。じっくりとした間のような時間がとても少ない。そんなテンポが、気がつけば三時間ほぼ全編に渡って続くので、引き込まれながらもかなり疲れました。

序盤に、爆音爆風の場面が会話劇の最中に不意打ちのように何度か入るので、次はいつ来るのか?と、ビクッとしないよう身構えながら観てしまいました。

そしてやってくるトリニティ実験のシーン。カウントダウンもあり、盛大な音圧が映画館を支配するのだろうと思いながら、緊迫感に満ちていくスクリーン。光、無音、爆音。

キリアン・マーフィー演ずるオッペンハイマーはとにかく見ごたえ抜群でした。無表情気味なところや素早い見のこなし、古めかしいスーツやハットがよく似合います。彼の出るフィルムノワールをぜひ観てみたいと思いました。探偵役なんか本当に合いそうです。

追記

原爆投下後、オッペンハイマーが演説をする場面だったであろうか、色々な幻影を現実感を持ってみる場面、それから、尋問の席で妻が同席する中で不倫について言及する場面。前者はオッペンハイマーにとっての、後者は妻にとっての、実際には目にしなかったものの決してみたくない場面を、それぞれが想像逞しくリアルなものとして体験に近い形で想像してしまう様を、普通ならば回想シーンで描きがち。そこを現実と錯覚するように地続きな描き方にしたのが、成功したのかどうか。いずれにしても強い印象は残ると感じました。