仁

オッペンハイマーの仁のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.1
こういう賛否ある映画について、なにか「正解」のような形で感想を述べるのが本当に嫌で嫌で...当然誰からもそんな正解なんか求められてなくて、自分の心のどこかに「芯を捉えた見方をしなければ!」「そしてそれを表現せねば!」みたいな強迫観念めいたものが少しあるからなんですね。ゴメンなさいこれ本当に愚痴なんですけど、映画に限らず何でもそうなんですけど、「正解」みたいな見方がすぐ蔓延するじゃないですか、今って。分かり易く簡潔にまとまった感想や見解や考察が。なんとなく曖昧な、咀嚼の途中みたいな意見がそれらに駆逐されていってるような気がしててそれが凄く息苦しい。正解の見方ってSNS開けたら嫌でも目に入って、だからもうSNS辞めたらいいんすけど、なんかそういう訳にもいかなくて、結局世の中の(世の中か?)そういう雰囲気に流されて正解出さなきゃ病にうっすら罹患してるんですね



いや〜おもろかったっすわ、めっちゃ映画観たって気がしてる。

でもね、なんかずっと胸につっかえたまんま観てたんですよね、僕は被爆してないし、被爆した親戚や友達がいるわけでもないし、広島と長崎に縁はないし、でもつっかえてるんすよね。正直、この映画観てる時に人生で初めてくらいにハッキリと、「あ、おれ日本人かも」って意識したかもしれない。
小学生の時、特別授業で「はだしのゲン」のアニメを視聴覚室で見させられて、でも怖かったし悲しかったから、ほとんどずっと机に突っ伏して泣いてた、そういう記憶が蘇ってきたんですね。俺はゲンまともに見なかったけど、確実にあの時間でハッキリと戦争嫌いになりました。
で、じゃあ今回オッペンハイマー観て、日本人じゃない人がそういうような思いを強烈に抱くんかね?って、思いました。いや分かってる映画の主軸がそこじゃないのは重々分かってる、めっちゃオモロい映画やし、けど、っていう。だから胸のつっかえなんすよね。オッペンハイマー博士が被爆地の写真を見て「ウッ」となってるんならさ、観客である我々もそうなる必要があるんじゃないのかね、想像ではなく直視するという形で。その瞬間は目を逸らしてしまったとしても。
仁