しの

オペレーション・フォーチュンのしののレビュー・感想・評価

3.1
ガイ・リッチー作品にしては見やすい。ロケーションは豪華絢爛で、ユーモアがあり、編集と劇伴の組み立てがお洒落なスパイ映画。本家007がやたらシリアスかつ長尺になっていったなか、本作の軽快さは何だか懐かしかった(キノフィルムズより試写会に招待頂き鑑賞)。

大前提として、スパイアクション映画というよりはスパイ会話劇映画だと思った方がいい。肉弾戦やチェイスもあるが、それはほぼステイサムが引き受けていて、かつシーンとしてもそこまで多くない。どちらかというと凸凹チームのリズム感とユーモアある会話がメインだった。

本筋は「使い道がわからないけど何かヤバそうなブツが盗まれたから、盗んだ奴をとっちめて何に使うのか聞きにいこう」という(最近似たような話聞いたな……と言いたくなる)もの。本作もまた誰が何のために何をやっているかが迷子になりやすく、割り切って役者のアンサンブルを楽しむのが良いだろう。なかでもヒュー・グラント演じる大富豪の、悪人なのか善人なのかやっぱり悪人なのか……という得体の知れないユーモア感は印象的で、もはやステイサムが食われている。

というか、そもそも主人公のキャラクターが薄いので、もっと快楽主義的な側面を推しても良かったのではと思う。他にも、やたら国を飛び回るものの結局は無敵ハッキング&ステイサムのボコしでやること一緒なのも惜しい。とはいえ、ちゃんと男同士のイチャイチャに帰着する要素もあり、それがある意味「映画というエンターテイメントが邪悪な資本主義を懐柔する」話にも見えてそこはユニークだった。あまりピンチにならない楽観さも含め、軽く観れる一作ではある。
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