学生それぞれの語る自身についての物語はおおよそ真実っぽく、感動的なものすらあるが、カメラの前にいながらカメラを意識しないという"演出"のせいで用意された嘘っぽく聴こえ、真実性を押し出そうと生徒たちがぎこちない表情を浮かべているのが逆にカメラを意識させてしまう。これが本作品の根幹にあるので、やはり致命的な欠陥であるように思える。内容は本当に面白いので複雑な気分。正直なとこ現実か虚構かなんてどーでもいいんだが、まるで真実のように扱われてるのがちょっと無理。

• #2021ofOdessa

【私のであってください】
自主クレール・シモン特集。ひたすら若者が閉塞感について語る作品。BARみたいな感覚で学校職員が｢数学は難しい?家族は勉強手伝ってくれるの?｣と語りかける場面が印象的...といいたいが、なんだ「私のであってください｣と日本語で書かれたダサい服着たあの子は?謎服過ぎて驚愕!

やってることはジャンルーシュの再考。新たな世代の対話は内と外に何をもたらすのか。パリ郊外と登校風景。家庭環境や家族との仲、過去やこれからのこと、愛がなくなったらどうする？ 愛とは？など話題が少しずつ入れ替わりながら学生それぞれが思いを語る。「恋はパラシュートみたいなもの」「嫌なことも人生の一部」「過去から今は作られる」思春期を通過した人なら誰しもが共感する学生たちの体験、その経験が内から外へ向けられたとき周りはどう耳を傾け身体的言語として相手に伝える（受けとる）のか。コミュニケーションの発達時期にある若者の自由な発言が物語に彩りを加える。この作品を恣意的・陳腐と見なす友人はやばいと思った。

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